(29)『誰が「本」を殺すのか(上)』

この本を読み終わりました.

だれが「本」を殺すのか〈上〉 (新潮文庫)

だれが「本」を殺すのか〈上〉 (新潮文庫)

これまた長い本.500ページ以上ある.アマゾンの商品の説明にはこう書いてある.

本が売れない―。相次ぐ出版社の倒産と書店の閉店。活字離れと少子化。毎日200点もの新刊が並ぶのに、「本」を取り巻く状況は、グーテンベルク以来の未曽有の危機に陥っている。果たして「本」を殺したのは誰なのか。書店、図書館、流通、出版社、あるいは著者…、その「事件」の犯人を割り出す、過酷な追跡が始まった。すべての関係者に隈なくあたった、渾身のルポルタージュ

最初がたぶんいちばん良く書かれている.出版を取り巻く環境は刻々と変化しているものだから,本書が書かれて10年経って読んでしまっている時点で物足りなく思うのは当然だと思う.上陸前夜のアマゾンについては「懐疑的に」書かれているが,大攻勢のその後,ひとり勝ちとも言える現在の状況は当然ながら書かれていない.というよりもそこまでのアマゾンの急速な浸透を著者は予想できなかった.それだけ現在の取次ぎ他の書籍流通制度が現在にマッチしていないという著者の説を矛盾するようだが裏付けている.
ところどころに著者の感想(?)が書いてあるのが読んでいてメンドクサイ.というよりも「○○が鼻につく」と書いてあるところが鼻につく.ルポタージュの類いは鋭い切り口でバッサリと切り捨てるのは難しい.旧態依然と書いている本人が旧態依然かもしれないのだから.僕は好意的・批判的に書いてある論拠が本人の感性に頼ってしまっていることが多くて,「どうしてそう考えているのか」の説明部分が少ないことに読んでいてイライラしてしまった.
でも本は売れていないのは事実だし,そのことを数字で書いたことは評価されるべきですね(と僕が偉そうに言わんでもこの本はそれだけの評価を受けましたがww).下巻は読むかは未定です.読む本がなくなったら読むかも.