(51)『アフリカ・レポート―壊れる国,生きる人々』

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)


恥ずかしながら「レイシスト」という言葉を初めて知った.自然と資源に恵まれ本来ならば豊なアフリカ.そのアフリカを貧困のふちに追いやったのは,まぎれもなく欧米先進諸国である.しかし先進諸国を大陸から追い出した後,貧困にあえぐ民衆を尻目に政治の実験を握り,殆どの国で独立以来独裁国家を維持しているのは,全てを「レイシスト」のせいにする同じアフリカ人であるということ.そしてAUの何とも無力で愚かなこと.読んでいて腹が立つというより悲しくなった.
ただ本書は,第5章・第6章に現地のNGOや優良企業で働く勤勉なアフリカ人など,破綻したアフリカではない,明るい未来も他方で記してある.そこに30年来アフリカと付き合ってきた著者の優しさを感じた.