(26)『ザ・ギバー―記憶を伝える者』

この本を読みました.

ザ・ギバー―記憶を伝える者 (ユースセレクション)

ザ・ギバー―記憶を伝える者 (ユースセレクション)


僕はユートピアディストピアものが本でも映画でも好きなんですけど,これは作品の存在価値からも群を抜いています.理由はこの作品がユースセレクション(対象年齢小学校高学年〜中学生)であるからです.大人向けの本ならばジョージ・オーウェルの『1984年』とかレイ・ブラッドベリの『華氏451度』,映画ならばテリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』など良作もたくさんあるんですが,困ったことに低年齢層向けって殆どないのよ.もちろん内容はユースセレクションとはいっても,大人が読んでも充分考えさせらえるものです.このようなテーマをあつかった作品に触れた事のない人なら特に.
アマゾンの内容紹介にはこう書いてあります.

社会にうずまく悪や欲望、苦痛や悩みなどがすべてとりはらわれた理想社会―喜怒哀楽の感情が抑制され、職業が与えられ、長老会で管理されている規律正しい社会―「記憶を受けつぐ者」に選ばれた少年ジョーナスが暮らすコミュニティーは、ユートピアのはずだった。けれども、理想の裏に隠された無味乾燥な社会の落とし穴に「記憶を伝える者」とジョーナスが気づいたとき、そこに暮らす人々が失っている人間の尊厳にまつわる記憶の再生を計ろうとする。二度のニューベリー賞受賞に輝くロイス・ローリーが贈る、衝撃的近未来ファンタジー。1993年度ニューベリー賞受賞。

読みたくなりましたか? だったら読みましょう.ただ,僕はここで怒りを覚えますよ.この本はこんなに良作なのに,もう既に絶版なんですよこれ.自分はアマゾンのユーズドで買いました.あと英語が堪能な人は原書で読むのもいいかもしれませんね.とにかくオススメです.