文化的雪かき
今年度は僕の持てる学力的な意味で本気になれる授業は,最難関大学を受けようとしている生徒の授業1つしかない.あとは中学生とか,高1のへたれクラスとか(俺のクラスだよ!!!).でもそのなかでいちばん違った意味で大変なのは,本来なら受験生のはずの高3の日本史の授業だ.「あいつらは授業の受け方を知らないよ」と,新しく担任になった大ベテランの先生のお話(去年の担任の先生はいろいろあって辞めてしまったらしい).前もってそういう情報を仕入れていたから,先日の最初の授業は気合を入れて行った.そして熱く語った.なんで君たちは勉強するのか,君たちは将来どうしたいのか,俺は君たちをこうしたいと考えている.本当に受験生の君たちは俺以上に本気なのか? …という内容で.誰も一言も喋らなかった.寝なかった.だからとりあえず1時間目は大成功だったと大甘で自己評価してもいいかもしれない.
そいつらの授業は村上春樹的に言うのであれば“文化的雪かき”だ.誰もそんなのやりたがらない.でも雪はどんどん積もって,最終的にはどうにもならなくなる.誰からも褒められもしない.ただこなすだけのルーティンワーク...
には絶対にしない.
「何が正義かなんて誰にもわからん。みんなわかってない。だから目の前のことをこなしているだけだ。雪かきだ」
でもそれは与えられた仕事だ.やる気のない奴らの授業なんて,他の先生はみんなやりたくないよ.だからなぜか専門教科の違う僕が授業をしている.選べないから目の前のことをこなすしかない.そしてそれは雪かきと似ている.だけど俺は誰がなんと言おうと雪かきが好きなんだよ.