(30)『新世界より(上)』
厚さにつられてこの本を読みました.
- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/01/24
- メディア: 単行本
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『黒い家』『硝子のハンマー』の貴志祐介作品.
今から1000年後,呪術(PK)によって現在の文明が淘汰されまた新たな秩序が生まれている世界が舞台.主人公たちが少年少女だったり“バケネズミ”といった奇妙な生き物が登場したりそれと戦ったりと,読んでいてSFというかファンタジーというかRPGゲームみたいな錯覚に陥る.だから普段小説を読みなれていない中高生はサクッと作品の世界に入り込めると思うし,エンターテイメント性の高さからひたすら本を読みたい人にもおすすめ.注意深く読むと話の内容は軽いものでもないから.
僕は少年少女を取り巻く学校他社会の奇妙な生活環境から,しばらく前に読んだ『ザ・ギバー−記憶を伝えるもの』を連想してしまった.“なぜPKを住民全員が使えるのか”“PKを使えない人間はどうなってしまうのか”…が図書館の解説によってわかっていく過程はハラハラする.そして仲間の一人が消えそうになるとき読み手は強烈なショックを受けるだろう.すなわち「まだこの小説を半分も読める」.上巻だけで圧倒的な内容の濃さ.498ページで2000円は安いと思うよ.
未読の人はおすすめです.そして脳内BGMはもちろんドヴォルザークで.