花火

 花火を友人の親父の持ちビルから観るのも5年目。
ここは高校時代、ずっと僕らがギターをジャカジャカ鳴らしていたところ。
今は1年に1回、今日しか行けない(行かない)ところ。
仲間は6人集まった。そのうち彼女同伴は4人。けっこうな確率だよね。前は男しかいなかったのに。
自然とむかしの話になる。彼女たちはついて行けない。共有する過去の絶対量が少なすぎる。
僕らはバカ騒ぎ。彼女たちはそれを(天然ボケの相槌を含め)静かに見守る。
 帰りの電車。方向が同じ4人。6/2の僕と友人、6/4の友人とその彼女。
彼女は僕の後輩だった。そして僕は(かつて)その子から好意を持たれていた。
それを僕は知らないことになっていた。だけど余計なことをする奴がいて、僕はその子の想いを知ることになった。
でも僕はその子の想いに答えることができなかった、結果的に。
3年前、僕は花火に彼女を誘った。そこで僕の友人たちと初めて会った。
その後のことを僕はあまり知らない。ただ電車の友人ふたりが彼女を好きになったということは知っている。
そして今日、帰りの電車。
 1駅区間だけ4人になる。何となく気まずい。いつもの友人3人だけならバカ騒ぎ。でもそのときは違った。
ポツリと一言二言交わす。それだけ。
それもいい思い出かな? 10年後から考えればたぶん今日も青春だ。